【マリオサンシャイン TAS】風船割りについての話 その3
随分と間が空いてしまったが、風船割りTAS解説の続きをしていく。
前回記事はこちら
主にルートの組み直しの過程について書いた。今回はこのルートからの改良の様子を追っていく。
改善点:先入観を捨てる
さて、前回記事で解説したTASは最後にDボトルで8,9,11,12の4枚抜きをして終わらせている。旧記録からE&Fボトルパートをカットする事に成功しているが、このE&FボトルはDボトルよりも先に取ることができる。それはメカクッパを見ても分かる通り。
メカクッパではDボトルと同じ位置にあるボトルを早い段階で取っておきながら、どうして風船割りでは取得していないのか?
これは風船が水を遮ってしまうからである。このため、いくら放水角度を調整しても8,9の風船が残っている限りはEボトルへ水が届かなくなっている。
ならば邪魔な8,9を先に割っておけばEボトルによって発射回数を増やせるのでは?と考えた。
ではどのボトルで8,9を割るか。まずは風船を一切割らずに辺りを見回し、どこでどの風船が割れるのかを再確認する。そして1つの事に気が付いた。
画像の3枚の風船は5~7で、マリオがいる場所はDボトル付近である。
5~7の3枚抜きをするにはCボトル付近でなければならないと思い込んでいたのだが実はその先でも3枚抜きをする事ができたのだ。
これによりCボトルで8,9、水を遮るものがなくなったのでEボトルとDボトルを使い5~7と11,12を割る事に成功した。
これが「https://twitter.com/zelpikukirby/status/818043979325243392/video/1」を制作した過程である。
更新のきっかけ
その1の記事を見てもらえれば分かるが、ここからの更新は2019年の3月、1つ前のものは2017年制作で2年間が空いている。特に更新案が浮かばなかったというのもあり、わざわざ作り直すきっかけがなかった。
きっかけはマリオ64のスティック禁止TASに影響されてこのステージのスティック禁止を作った事である。
このスティック禁止の制作過程を書くのも面白いのだが、それは別の機会にする。
とにかく風船割りTASに触れたから、せっかくなら個別更新してみようと思った。
改善点:長らくの課題Aボトル3発目
作り直すにあたり以前のTASを見返してて、もうここしかないだろうと真っ先に取り掛かった。それまではAボトル3発目で13を割っているが、それはEボトルで11から3枚抜きできる風船のため、実質的に無駄撃ちとなっていた。
では代わりに何を狙うかと言ってももう残っているのが3~13で、この時点で狙える風船ではもう3、4くらいしか有効なものがない。そしてBボトルで8、9、Cボトルは再び5~7の3枚抜きに戻る。
最後はEボトルよりもDボトルの方が先に水を当てられたのでそれで11~13を割り終了。作ってしまえば特に頭を使ったわけでもない単純な改善であった。
あまりにもあっさりでシンプルすぎたため、手応えとしてはイマイチだった。
Eボトルが不要となり、ならばマリオに最も近い8,9を最後にしても問題ないのでは?と。
改善点:全ての風船を割る必要はない
しかしこれが相当に厄介だった。Dボトルより前では11~13の3枚抜きができず、ボトルの発射回数が足りなくなったからだ。いくら考えても発射回数を増やせそうな場所が思いつかず、割る順番を入れ替えるだけでは無理だと悟った私は、もう手段など選んでいられない、使えるバグは全て使ってやる、と二重カウントバグに手を出す事にした。
単純に使えば良いというわけではない
1つの風船でカウントを2つ稼ぐ、と聞こえは良いが実際のところバグを起こすには2つのボトルを1つの風船に同時に当てる必要がある。
TAS精度ならこれ自体は難しくないものの、問題はボトル1発ごとの風船割り効率である。
風船割りでは基本ボトル1発で2枚抜きをしている。そのため2発あれば4枚割ることが可能だ。これに対し二重カウントでは、2つのボトルで1つの風船を2つ分の判定とする、つまり2個分しかカウントを稼げず、ボトル1発で風船1個と同じである。これは効率が悪く、バグを起こすためにボトル取得タイミングを調整する事も含め難しい問題であった。
ならば二重カウントを2つの風船で同時に起こすしかないと考えた私は、最も狙いやすそうな3,4の2つの風船でカウントを4つ分稼げるか検証した。
そして角度や発射速度の調整を細かくやれば出来る事が判明した。
どの風船を残すか?
2つ分カウントを多く稼げたという事は最終的に2つの風船を残してもクリア扱いになるという事である。じゃあどの風船を残すのがベストかだが、ボトル1発で風船を1つしか割っていないものを残すのが妥当であろう。
該当する風船は14と15、そして3枚抜きができないため必然的に2枚抜きと1枚抜きに分かれる11~13。
ここでボトルが壁に当たるまでの時間が短い14と15を両方残すのはもったいない、消去法的に11と14を残すという事になった。
後は実際に作るだけで、14に使っていたボトルは12、13の2枚抜きへ回し、余ったボトルとCボトルで3,4の二重カウントを起こす。これで最後に8,9が残り完璧。
動画「https://twitter.com/zelpikukirby/status/1107152564703760384」
バグも利用でき満足した私はもうこれ以上風船割りは改善できないだろうと思っていた。自分の動画を何度も見返し、あぁ速いなぁと余韻に浸っていたのだが、これがTASerとしての性なのか、Cボトル~Dボトル間の移動で何もできない時間もったいないなぁと思ってしまった。
むすび
大まかなルートは変わらず、後半の改善だけが進むばっかりだった。
解説するとどれもあっさり作っているように見えるが、実際の私は大体1日中風船割りの改善案を考え続け、寝る直前まで検証を繰り返していた。120枚TASがここまで進んだ時に更新余地を残すまいと意地になっていた感はある。
そんなわけで最後の移動パートにもったいなさを感じた私はまた大きくルートを見直す事にした。その過程は次回の記事にて。