マリオサンシャインを研究するブログ

マリオサンシャインのRTA,TASについて考察する。オタク向け

【マリオサンシャイン TAS】風船割りについての話 その2

前回の記事の振り返り

 この記事は、前回の記事の続きとなっている。

zelpiku.hatenablog.com

 

 前回は風船割りで使われる技術と個別TASを作り始めた経緯、ルート構築の様子を書いた。

 

 今回はこれの更新版を作るきっかけやルートの見直しの過程を話していく。なお、今回も風船、ボトルの配置図を参照しながら解説を進めて行くため、図を前回記事から再掲する。

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きっかけ

 風船割りの個別1つ目は2014年6月制作、2つ目は2017年1月制作で2年半もの間が空いている。更新できそうなところは分かっていたにも関わらずここまでの間が空いた理由は、制作のモチベーションがなかったからである。

 

 個別1つ目の動画は、前回記事のように図を用いていつ何のボトルを取得しどの風船を割っているかの解説を行っている。この動画編集は他の人へ依頼してやってもらっており、編集の知識が全くない自分には作れないものだった。

 

 風船割りは制作者でもない限り、動画だけでは何が起こっているのか把握するのは難しいため、更新版を作る場合でも解説はつけたいという考えがあった。

 自分で編集できていれば作っていたかもしれないが、更新版を作る度に他の人へ依頼するのは非常に労力がかかる。

 

 また、2014年~2017年は私がRTAを活発に行っていた時期でもある。RTAとTASの両立というのは体力的にも時間的にも厳しく、特にTASは検証、制作に時間がかかるため、RTAに力を入れるとTASをやれる程の余力が残っていない事が多い。

 

 こういった事情もあり、相当な事がない限りなかなか作り直す気が起こらなかった。その相当な事に該当したのが以下の動画である。

Super Mario Sunshine - Perfect Pinna 8 (Magic Shot) - YouTube

 この動画での新発見はDボトルで9~13の5枚抜きができるという事である。

2014年のTASは11以外の4枚抜きをし、Eボトルで11を割っていたため、この5枚抜きを取り入れればボトル1発分の短縮になる。

 

 昔から新技術の発見でモチベーションが湧きやすい性格であったため、この動画を見つけた直後に早速作り直す事に決めた。ただ作り直すだけならDボトルからやり直せば良いので楽だったのだが、せっかくなら前回の課題点であった14,15の風船を序盤に割るルートを模索しようと思った。

 

ルートの組み直し

 ルートを組み直すに当たって1つ問題点があった。それは14,15を先に割ろうとするとその分他の風船を割る事ができなくなってしまうという事だ。

 これは風船割りの改善案を考える際に常に付きまとう問題で、どこかの風船の優先順位を上げれば他の風船を割る機会を逃してしまい、大きな改善が見込めない可能性がある。

 

 更にE,Fボトルで狙える風船は割と限られている。と言うのもボトル自体が低い位置にある上に、マリオは1回転レールの途中で向きの調整が難しいからである。そのため、14,15以外を最後に回す事自体が得策でない事も考えられた。

 

 この問題を解消するためにはまずボトルの発射回数を上げなければならないと思った。ボトルの発射回数を上げるには復活を待つ時間と風船へ狙いを定める方向転換の時間をできるだけ削る必要がある。

 

 そこでまずは前回の動画でどこで時間的なロスが発生しているかを見てみた。

ロスが顕著だったのはAボトル2発目で18を狙うまでの待ち時間である。なぜここで待っているのかと言うと、マリオが上り坂にいて角度が合っていないため、高さを稼ぎ18を射程に入れる必要があるからである。

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 レールが水平角度であればマリオはもっと上を向けるため待たなくても18を割れるのだが、上り坂にいる時に18を狙うのは効率が悪いと思った。なので18をいつ割るかから考え始めた。

 

 候補としては2つ思い浮かび、1つ目が最初は他の風船を割っていき、Bボトル付近でAかLボトルを取れればそれで18を割るルート。

 2つ目が上撃ちを利用して一番最初に18を割ってしまうルートだ。

 

 このように複数のルート案が出た時どうするかというと、実際にTASを作りながらそれぞれのルートについて考察する。

 

 まずどちらのルートにも共通する、先に14,15を割る行為。

一見遠くに配置されてるように見えるこの2つだが、実はボトルがステージの端にぶつかるまでの時間は比較的短い。これは前回記事でも少し触れているが、図でいう左側の方が端までの距離が短い(ように感じる)事が関係している。

 

 つまり1発で1枚しか割れないものの、ボトルが短時間で復活するため発射回数を稼げる期待が得られた。

 

 さて、1つ目のルートを実際に作ってみるわけだが、まずは18を狙う時の流れを確認してみた。すると真後ろを向いて18を割ってから振り返ってBボトルを取るという動きになり、180度の方向転換が発生する。これは時間的にもったいないなと感じた。

 

 2つ目のルートの流れを考えると、Lボトルでは16、17を割るため18はAボトルで割らなければならない。そのためには1,2の風船を後回しにするしかない。

 1,2をどこで割るかは考えず、取りあえず1度16~18を割る工程を作る事にする。

 

 Lボトルは真後ろにあるため、18を割るために振り向く動きと動線が一致する。Aを撃ってすぐにLが取れるため、2つ目のルートの方が良いだろうと、この時点で判断した。

 

 L2発目で14か15を割り、A2発目では2枚抜きしづらい19,20を割る。Lボトルで位置保存撃ちを使えばこのタイミングじゃなくても簡単に2枚抜きできるが、斜め上に撃つのと横向きに撃つのとでどちらがステージの端に早くぶつかるかは想像に難くない。

 

 この段階でAとLを2発ずつ撃っており、前回は同じ回数撃つのにBボトルを取る直前までかかっていたため、既にだいぶ時間を稼げている事が分かった。

 

 AとLの復活を待つ間にやれることはないかと探したところ、Bボトルをショットガンで先に取っておくことができた。そこでこれを後回しにしていた1,2の2枚抜きに使う事にした。

 L3発目で14、15の残りを割り、A3発目も復活が間に合ったため取得。

だが、どの風船を割るのが最適か分からなくなった。

 

 今の時点で残ってる風船は3~13。

3~4はBボトル2発目、5~8はCボトル、9~13はDボトルで割れるため、持て余している状態になっていたからである。しかし、1発無駄にするのももったいないため、タイム短縮になりそうな風船を探してみる。

 

 風船割りでの終了判定はカウントが20になる事、つまり20番目に割る風船を先に割ってしまえば少しの時間短縮になる。

 このまま進めばDボトルでの9~13の5枚抜きが最後となる。なのでA3発目で13を割るのがベストだろうと考えた。12、13の2枚抜きはできないの?という疑問が当然出てくるが、自分が試した限りはもっと手前にいる段階でなければ成功しなかった。

 一応11、12の2枚抜きならできるが、そうするとDボトルから見て一番遠い13が残る事になり効果が薄れてしまうため、13の単発割りの方が良い。

 

 後は前回同様の流れで中盤を作る。E,Fボトルの終盤パートはそのままカットする事に成功し、これにより192F(6.4秒)の更新となった。

 通した動画がこちらである

https://twitter.com/zelpikukirby/status/817715673824538624

 Aボトル3発目の使い方など課題はあったのだが、目ぼしい更新案も浮かばなかったため、風船割りTASはほぼ限界だろうと思った。

 実は1日足らずで更新してしまうのだが、それは次の記事にて話すことにする。

 

むすび

 冒頭のきっかけにて、自分で動画編集ができないがために風船割りは作る気が起こらなかったと書いたが、これはtwitterで動画を公開できるようになった事で変化が起きた。

 

 twitterニコニコ動画に比べてフォロワー数が少なく、つまりは見てる人が少ないためガッツリとした編集をせずに気軽に動画を公開できた。

 ハードルが下がった事は編集慣れしていない私にはとても大きく、風船割りの大半がtwitterのリンクになっている事からも分かってもらえるだろう。

 

 またこの時期にもなると海外勢との交流が増えてきている。ニコニコ動画は海外勢がほとんど見に来ない(当時はまだ会員登録しないと動画も生放送も視聴できなかった)ため、海外勢にも見てもらうにはyoutubeニコニコ動画両方へアップしなければならなかったのだが、twitterでの動画投稿はそれだけで日本勢にも海外勢にも見てもらう事ができる。

 日本語で解説を書いても海外勢にはまず伝わらないため、そういう意味でも編集なしの動画をtwitterに投稿するというスタイルが自分の中で定着する事になった。

 

 風船割りについて振り返ると、実際作っていると方向転換の時間、ボトルの軌道をなるべく水平にして早くステージの端にぶつけるなどの細かい最適化がかなり重要であったと感じた。

 特にボトルは斜め撃ちか水平撃ちかどうかで10フレーム単位で変化する事がザラにあるため、特に意識しなければならない。

 

 今回はルートの組み直し過程が中心となったため、動画1つ分の解説しかできなかったが、今後はこのルートが主軸となり細かい変更をするだけの更新が続く。

 

 そのため次回は3つの動画を順番に解説する予定である。