マリオサンシャインを研究するブログ

マリオサンシャインのRTA,TASについて考察する。オタク向け

120枚TAS進捗1/2突破、ここまでの振り返り

あらすじ

 先日120枚TASの動画を公開した。ようやくコロナマウンテン1回目を終え、120枚本番に入ったというところだ。

 現時点でシャインは46枚、青コインは120枚(=シャイン12枚分)で、枚数だけで言えば全体のほぼ半分に到達したと言えるので振り返る事にする。

 

前回記事はこちら

zelpiku.hatenablog.com

 

全体を振り返って

 アメンボとマンタ強かった。このゲーム、やっぱり乱数。

掃除もしんどかったのだが、Any%でノウハウを得ていたからか、心が折れるほどではなかった。こういう時にフルゲームランの経験値は大きいなぁと実感する。

 何だかんだ今後も2015年に作った20枚TASの経験が活きてくるし、今までの制作をフル活用してる感じが楽しい。RTA歴9年半、TASer歴6年5か月の集大成。

 

 後はマンタ以降1か月で作りきったのは自分で驚いた。体感2か月くらいかけてたイメージ。

 

 実際追記密度はAny%より圧倒的に高いし、入力を完全流用したわけでもなく、ほとんどの区間Any%から更新している。

Any%と動きが被る場所で更新できなかったのは、リコ→ビアンコのステージ移動、ビアンコ偽、シレナ偽、マーレ3、マーレ偽のみで、それ以外は全部更新が発生している。

 

 なので超スピードで制作してはいるが、クオリティはむしろ上がっているという謎現象が。マンタを突破して乱数調整だけの単調な制作から解放されたのが楽しかった。

 

 感想はこれくらいにして、各シャインについて下で述べていく。

 

リコ7

 地味にクモの位置とショットガンの初期乱数の同時調整があったのだが、何とか良いパターンに出会えた。もしなかったら乱数調整の余裕が少ないリコ6で調整してくる必要があり、確実に妥協していただろう。ありがとうサンシャインの神様。

 

ビアンコ6

 ここにきて初動更新する?ってなった。どうやって更新したのかと言うと、マリオのY座標を調整してクオーターフレーム単位で水滑りを早く行うようにした。

 ビアンコ6ではまず100枚の調査に手を付ける必要があった。それはターボノズルでボスパックンの寝床の青コインを取りに行くアイデアがあり、ターボを取るならS6しかないから。

 

 結局ターボのルートをロケットでやれば良いという事で没にはなったものの、ルート比較は頭を使うので疲れる。

 

 アメンボはAnyでもやっていたが、奥のアメンボを更に左側に誘導するためにはかなり正確な調整が必要で、2匹調整していたのもあって普通に心が折れたレベル。

 

 内部はAnyの時からやれると思っていたアイデアを2つほど実現した

1つは坂滑り3段から更に慣性1段を使うアプローチ。以前は3段から普通にダイブ復帰をしていただけだったが、これだとダイブ復帰から通常ダイブの動作をする必要があり、速度ロスが発生する。対して慣性1段ならばダイブモーションを1Fで済ませられる。これによる更新が5F。

 

 

2つ目は上昇ブロックで坂滑り加速からグリッチダイブをするもの。

ただ速度を付け過ぎると奥に行きすぎて壁に触れられなかったり、減速が間に合わなかったりするのでダイブ復帰よりちょっと速い程度に加速を抑えてある。

何フレーム更新だったかは忘れたが、坂滑りの短縮は1Fか2Fくらいだと思う。

 

ビアンコ7

 初動改善しても更新は起きなかった。流石に近すぎる。

 

シレナ1

 分裂条件が謎すぎる。水を当て続けるのではなく、適切なタイミングで、適量を当てなければならない。水を当てすぎると分裂が遅くなる。

最初のやつは1Fしか変わらないが、第1分裂後は露骨に6Fとか変わってくる。

Anyから更新できる11Fのうちほとんどが分裂の速さ。ここで追記半分以上使ったし1か月半かかってるしもうやりたくない。一時期はRTAのマンタを見るだけで動悸がしたレベル。

 

 青コインは意外と遠くて最初はどうやって間に合わせるか思いつかなかった。

なんやかんや試行錯誤して動画の通りダイブ復帰放水でトドメさしてホバスラとなったが、ビリビリをわざと踏んで水滑り慣性スピンをしたり、スピンY放水をしたりといった没アイデアが結構ある。

 

 泳ぎもちゃんと最適化しないと間に合わない。人力でこれを狙うのはほぼ無理だろう。

 

シレナ2

 赤テレサ乱数こんなきついのかってなった。シレナ外部はあまり乱数調整する余裕がなく、水滑り乱数も合わせないといけないのでヒミツ赤が今から鬱になる。

 

 内部は魔改造して大満足。歯車リフトの坂滑りはまず凹んだ部分に滑り判定があるのかを確認し、どのタイミングでジャンプ出せるかを確認し、そのタイミングにどうやってマリオをそこに持っていくかでかなり悩まされた。

 

 上から超えていくと凸部分が邪魔で、それを避けるほどジャンプすれば奥に行きすぎる。横から回り込むのは最初はY視点硬直があってダメだと思ったが、本当にギリギリ成功した感じ。

 

 ここの坂滑り加速は他のヒミツとは比にならないくらい座標がシビアで、ちょっとのブレでも得られる速度が大きく変わる。当初は加速が足りず、砂ブロックに届くまで歯車でグルグル時間稼ぎをしていたが、何度も試すうちにほぼ待ち時間なしで届く速度を得られて完成した。恐らくピクセルパーフェクト。

 

シレナ3

 ここも魔改造。後ろ向かずに抜けた時の高揚感はたまらない。

 

シレナ4

 スロットの777合わせるのが一番苦労した覚え。ショットガンも乱数、撃った後も乱数。透明リフトはヒミツ赤用のデモンストレーション。

 

シレナ5

 ワイヤーフレームで観察してたらこれ当たるんじゃねって思って床下にショットガン撃ったら当たった。私天才かと思ってしまった。

 

シレナ6

 ショットガン撃った後に別のショットガンで汚れの消え具合変わるから最適化不可能。

 青コインの同時取りは結構シビアだなって思った。話しかける角度のせいでもあるが、RTAで狙ってできるものではないと思う。

 

シレナ7

 青コイン出す最適化が結構大変だった。角度をいろいろ試して、多分最適な角度になってるはず。

 

マーレ1

 ボム兵をコルクから投げるアイデアRTAでも使われないかなって思ったけど、RTAのアプローチじゃコルク側に投げてもらえるほど速く行くことができないから厳しいかな。セカンド周期なら余裕だけど、やり方提示しないと誰も使ってくれなさそう。

 

マーレ2

 バネ抜け研究してくれたみかん氏に感謝。TAS的に角っこで抜けるより段差で抜ける方が圧倒的に簡単だし速い。RTAだと流石に安定感がないと思うのでワンシャインじゃないときついかな?

 

 壺の青コインはどうしてこんな判定狭いのってキレそうだった。通常放水ならそこそこなシビアさで済むが、遠距離からのショットガンはピクセルパーフェクトを疑うレベルにきつい。

 

マーレ3

 更新出来そうで出来なかったシャイン。プクプクのせいではないと信じたい。

 

マーレ4

 海底の青コイン取ってY視点で壁蹴る奴、RTAでもやってほしい。0.3秒くらい速くなると思う。

 ウナギが吸い込みを始める条件が単なる時間経過ではない事が意外だった。

恐らくはウナギが揺れた回数とかが条件。歯を磨いて速く揺れたら吸い込み始めが速くなったので。

 

マーレ5

 地味に初手アプローチを1F更新している。

RTAのモンテマン見てタイム計算して、TASならゴール後回しでも間に合いそうだなと思った。余裕すぎてもう1枚取りたかったが、海上は遠いし遺跡もちょっと時間かかってダメだった。

 

タイマーは33:04狙いを考えたが、33:03にしかならなかったのと、海外勢には334が伝わらないと思うので、3333のぞろ目にしといた。

 

マーレ6

 ヒミツインの時にすり抜けではなく、貝の外側に飛び出た判定に触れるやつ使いたかったなぁとちょっと残念。速さには勝てない。

 

マーレ7

 実は瞬殺でちょっとした改善があったが、更新にならなくて残念。その改善は動画では使ってないのだが。

 

洪水

 追記数では伝わりにくいが、青鳥がクソ。乱数調整する度に長いムービー見せられてこれがHF提案してきた人の気持ちかーと。

 

コロナ

 魚踏むアイデアでまた速くなってしまった。棘周期あるから青コイン取らないなら結局追い付かれるのだが。

 

 青コインはルート案が複数あって気が滅入った。泥船で左側を最初に取るアイデアは、右側のコイン4枚があまり速く回収できないだろうと没にした。試してすらいない。

 

 泥船、もっと制御効くもんだと思ってたが全然曲がらなくて絶望。まぁベイブレードの加速台として最後の役目を果たしてくれたから結果オーライ。

 

木箱1回目

 20枚TASからこんな更新出来るのかって思った。大体初動のバック宙ホバーのおかげ、木箱RTAのおかげ。

 

むすび

 今回の範囲はなかなか反応が良くて制作者としては嬉しい限り。

まだ半分、しかもこれからは経験がほぼないシャインばかりという絶望感があるが、ここまで来た以上は完走するしかない。期待してて欲しいが、アイデアも提供してほしい。

どろパックンを画面外に持っていった時の違いを解明した話

あらすじ

 約1年半前にマンマビーチのどろパックンを倒しながら砂浜のシャインを回収するアイデアが出された。初出というわけではないのだが、ソフトロックの危険性がある事、どろパックンに攻撃が当たらない事が多いなどから、それまでは思いついても採用しようという人はいなかった。

 このアイデア動画ではそれらを回避しRTAで十分採用できるレベルの難易度に落とす方法が編み出されており、それは以下の2つ。

 ・どろパックンを画面に映さない

 ・とどめを刺すとジャンプやホバーの上昇が強制的にキャンセルされるため注意する

 この方法が示されてからはRTAでも砂浜と両立する走者を見かけるようになったと思うが、なぜどろパックンを画面に映すと攻撃が当たらないのかは分かっていなかった。

 自分も調査しようとは思っていたが、120枚TASが忙しく調査する気力がなかなか出ずに放置していた。それから2020年になり、とある走者からどうして画面外だと当たるのかを聞かれ、遂に調査し原因が分かったので結果報告をする。

 

 元となったアイデアはこちらのツイートである

https://twitter.com/Nanashi_745/status/1045648660082483201

 

調査過程

 今回どのように調査していったのかを参考までに残しておく。

まずはどろパックンが画面内にいるかどうかを管理するアドレスを割り出した。なくてもできるが、あった方が調査しやすいと感じたため。

 

 どろパックンへの攻撃はRTAと同じく柱から行い、まずは画面に映した状態で水が当たるか試した。結果は当たらず、射程が足りないようだった。そこでアイデアと同じく画面外に出したところ、射撃角度は変えていないにも関わらずダメージが入った。まずは画面外に出すと当たるという事の実証が得られた。

 次に先ほどのアドレスで強制的に画面外にいる数値に固定して試したが、これは効果がなかった。外部ツールによる数値書き換えよりもゲーム内の処理が優先されていると思われる。

 

 次はカメラ座標を書き換えてどろパックン付近を映すようにした。がこちらも画面に映るとダメだった。そこで水が当たる直前にカメラを移動させたところ、ダメージが入る瞬間を映す事ができた。どうやら画面外にいる時は口以外にもダメージ判定が出るようだという説が得られた。

 

 1度条件を変え、どろパックンの近場で同じように画面外に出し、どろパックンの根本へ放水したところダメージが入った。先ほどの説が正しいと思われる。

 

 最後に他のどろパックンでも同様の検証を行ったところ、同じ結果が得られたので、どろパックン共通の仕様であると判明した。

 

結果

 どろパックンを画面外に出すと、口以外に水が当たってもダメージが入るようになる

これが画面外に出さなければならない理由であった。重要なのは他のどろパックンでも有効な事で、画面外に出した状態で処理した方が楽に倒せるという場面が出てくる可能性がある。実際昔の20枚ではビアンコ1のどろパックンに対し画面外でダメージを与えるテクニックが使われていたのだが、あれも口以外にダメージ判定があったからこそのものである。

 

むすび

 今回は長らく疑問だった事が、とある質問から解決され私自身もスッキリした。マリオサンシャインでは画面にいるかどうかで変わるオブジェクトはあまり多くなく、他に分かっているものは電気ノコノコとヒミツにある回転キューブくらい。

 アイデアを出した当人がこの仕様を知っていたのか、それとも何でかは分からないが取りあえず画面に映さなければ成功するという認識だったかは分からないが、ちゃんと原理を調べる事で応用の可能性が広がるだけでなく、このゲームへの理解が深まるので面倒でも調査は大事だと実感した出来事となった。

 

 画面外にいる時のダメージ判定を多少分かるように動画化したので、文章だけではよく分からなかった人は1度見てほしい。

https://twitter.com/zelpikukirby/status/1224736472982384640

120枚TAS進捗1/4突破、ここまでの振り返り

あらすじ

 2018年5月31日よりマリオサンシャインの120枚TASを1人で制作しており、1年8か月経過した2020年1月時点でようやく1/4となる30枚を突破した。

全編完成してからまとめて振り返るのは長くてしんどい(それに序盤の方の記憶も薄れる)ので、30枚超える度に総括を書いていく事にした。今回振り返るのは動画ではpart4までの範囲、つまりリコハーバーのニセマリオまでの29枚+青コイン86枚の部分。

 

全体を振り返って

 乱数調整とルート検証めんどくさい!

 これに尽きる。もう常に乱数にキレてるか、青コインをどのストーリーで取るのが一番ロス少ないかの調査にぐったりしていた記憶しかない。でもAny%からほとんどの場所を更新しているから最適化もかなり頑張っていたと思う。明らかに1人でやる作業量じゃないのだが、ドルフィンのムービーファイルのdesyncしやすさはTASvideosでも問題視されてるくらいにクソなので、基本1人でやるしかない。私と同レベルの最適化が出来る人も片手で数え切れてしまう程度しかいないし。

 

 それにしてもコロナに1度入るまではAny%の要素の方が大きいと言うのに、こんなに苦戦してこの先大丈夫かと。100枚コインとか綿毛とかチュウハナとかどうなってしまうんだろうねと常に思いながら作ってた。そんな不安も自分の作ったTASをフルスピードで見たら吹き飛ぶけども。

 

 最適化的には何か所か更新余地を残してしまった事が悔やまれる。詳しくは後で話すが、致命的なレベルの見落としはまだなく、更新余地も制作当時には誰もアイデアを出していなかったものか、最良の乱数が引けてないだけというものがほとんどで、単純な見落としはほぼないと思う。作り直せばまだ謎の更新ができるシャインが出てくる可能性は否定できないが、制作者である私はここまでの出来は自分で褒めたいレベル。私じゃなかったらこのレベルまで作りこむことはできないだろうと本気で思っている。将来私が引退してもマリオサンシャインを探求してくれる、あわよくばTAS作ってくれる後継者が出てきてほしいけどね?でも作りながらこんな乱数しんどいゲームなんてやる人おらんだろ‥と思ってしまうくらいにはやっぱり乱数クソ。RTAじゃ気にならないレベルの乱数、例えばホバスラの乱数にも振り回されるし、小数点単位の座標調整しながら乱数調整とか何回家の中で叫びたくなったことかと。そんなわけで全体を振り返った感想はこんなもの。下で特に印象に残ったセクションについて書いていきます。

 

特に印象深い場所

 ビアンコ3のアメンボ、遊びから最強のルートが編み出されてしまった場所。

アメンボは陸に上がると消滅するからそれで遊んでたら偶然地続きでアメンボが踏めることが発覚。それまではダイブ復帰で踏む以上の速度は望めなかったのが一気に水滑りの最高速度100で飛べるようになってしまった。見つけた時は鳥肌立った。

 その代償としてピンポイントな乱数調整が必要でアメンボの誘導にはかなり苦戦させられた。これをヒミツ赤でもやるんだと思うと鬱になりますね。

 でも水滑りの速度でアメンボジャンプ、かっこよすぎるから頑張る。

 

 ビアンコ4、ここはAnyとやる事変わらないけど最適化力が光ったシャイン。Anyから8Fも削れるとは正直思わなかった。まぁまだ初動で1F速くなるんだけど。

 

 ビアンコ5、執念の青コイン2枚追加にボスパックンも最速のルートで一切のロスなしというこっちも最適化力の賜物。ここまで作れる人はそうそういないんじゃないかと思うけど、追加した2枚を取るところ以外は結構簡単だったりする。

 

 マンマ8、ヤシを2個飛ばして1個はヤシ抜け用に奥まで、もう1個はジューサーにホールインワンは割と思いつくだろう、しかし実現するとなると地獄。

マリオの座標がちょっとでもずれるとフルーツの軌道が変わるしショットガンの乱数でも変わる。正直フルーツ1個でもしんどいレベルなのに2個とも理想な飛ばし方を実現できたのはもう感極まったね。twitterでも私史上最多リツふぁぼされてありがてぇ。

 

 マンマ→モンテ移動、最適化の極みでかっこよさが10倍くらいになった。Y視点壁キックもほぼ総当たり入力で調べたから流石に限界だと思う。今のところ単純な見映えだけで言えばここが一番好き。

 

 モンテ6、ショットガン乱数がきつかったが8人目と9人目が特に気に入っている。投げられるのをキャンセルする方法があればなお良かったが。あとシャインキャッチついでにノーコスト青コインゲットも好き。

 

 ピンナ2、2度とやりたくないシリーズ。キラーの調整も誘導も別にいい、ただし大砲抜けは許さん。3Dゲームでピクセルパーフェクトやらせないでください。

 

 ピンナ3(作り直し後)、作ってて楽しかったしフルスピードで見たら最初は自分ですら目で追えなかった。ベイブレード発見前の時はまだ目で追えるレベルだったけど、ベイブレードでもう訳の分からない速さになってしまった。見てて感動すら覚える。これを作れるのは世界で私1人だけじゃないか?私をTASerにしてくれたK氏に感謝。

 

 ピンナ6、RTAとTASではルート比較の結果が違うという事を実感させられた。ヨッシーの地味な坂加速とクリンタワー崩しがお気に入りポイント。

内部は長年構想していた左ルートを遂に実現できたのが本当にうれしい。どこを見てもRTAには到底真似できないルートになってしまったなぁ。

 

 ピンナ7、マーレ偽でやった上から近付く瞬殺。他のニセマリオが結構上にも視野が広かった+マリオの初期位置がニセマリオよりもかなり低いという事もあって、ピンナでは出来ないだろうと最初は思っていたが、試したら案外できてしまった。

これを受けて他のステージのニセマリオも調べたが、この方法が使えそうなのはいなかった。

 

 リコ1、遂に100枚に関わる青コイン調査が入ってきた。比較箇所が多く気が滅入ったが、おかげで100枚での労力をだいぶ減らせる事になった。クレーン乱数の妥協はもう少し粘ればよかったかなと思ってはいる。

 

 リコ2、内部まだ縮むんかいと思いましたねええ。でもニコニコのコメントにシャインキャッチ落下速度稼げないのと指摘されてうわぁそれ見落としてたわってなりました。ガチでこのイカなしルート考案されて8年だか9年だか、その方法を思いつきすらしなかった辺りダメだなぁと反省。

 

 リコ3、暗転明け~シャインキャッチで10秒かからない唯一のシャイン(ドルピックタウン以外では)。ショットガンによるY速度調整がいかに大事かが作れば分かる。

 

 リコ4、ベイブレードが超難しい。まずベイブレードの加速の時点で坂の斜面で高さが落ちるのを防がなければ話にならない。それをしてかつショットガンで高さ稼ぎをしてようやく届くシビアさ。

壁キック位置を変えて結構短縮しているのだけどあまり反応されてる感じがなくて悲しい。

 

 リコ6、ライン取りの最適化でそんな縮むとは思わなかったよ(2F)

 

むすび

 ここに上げてないシャインも長文オタク語りしたいレベルではあるのだが、書くのに疲れるのでそれは別の機会に。多分オフラインでサンシャインオタクに会った時とか、生放送とかで話すことになると思う。

次は恐らく青コイン込で60枚を超えたらまた振り返り記事を書く。早くても来年になるかな。

 

zelpiku.hatenablog.com

歩きの最適化

あらすじ

 最近120枚TASを制作している時に、マリオの歩きの最適化を行いこれをtwitterにて文章化してみたところ、オタクレベルの高い話だと思ったので記事を書いてみる事にした。

 

歩きの仕様

 マリオが平地を歩く時、その速度は26~32の範囲で常に変化しており一定ではない。26→27→…→32と1Fごとに約1ずつ加速をした後、32→26と減速する。このサイクルを繰り返している。なお斜面では坂道慣性保存がはたらくため、最高速度の32で歩き続けることができる。

 

ジャンプに繋げる

 普通であれば歩きの速度のブレはどうしようもないため、歩く最適化というものはないに等しいが、歩きからジャンプ動作を行う場合はフレーム単位で差が出るポイントである。

 

 ジャンプは直前の速度の約8割が初速となる。水滑り最高速度の100.500からジャンプすれば79~80、ベイブレード坂滑りであれば80→63~64。

歩きの場合、26からジャンプすると約22で、32の時であれば26の速度でジャンプができる。見た目ではこの2つは違いが分からないが、ジャンプ速度が4も違うとすぐ近くの壁に到達するまででも1~2F程度は差が出てしまう。

 

 TASで歩きからジャンプを行う場面は、方向転換を挟む時だ。そしてそれは大抵ダイブ復帰→歩きで方向転換→ジャンプという流れになっている。

 最小限の方向転換で済まさなければならない関係上、ジャンプの直前に歩き速度が31~32にならないよう調整する必要がある。ダイブ復帰は55の速度があるため、そこから着地すると速度は約37→32と減速する。方向転換にかかるフレーム数ではこの32でジャンプを出せるが、もう1F方向転換に要する場合、32→26になった時にジャンプが出てしまう。

 

 これを防ぐために、ダイブ復帰中にわざと減速させ、ジャンプを出すフレームで丁度32になるように調整する。普通はダイブ復帰の減速は好ましくないが、歩きの最大速度になるフレーム調整のためにあえて減速する場面がTASでは出てくる。

 

むすび

 メモリの監視をしないと分からない話のため、実際にTAS動画をコマ送りで見てもどこでこの技術が使われているかは分からないと思う。私も自分で作った動画でなければ見抜くことはできない。

 TASの細かい最適化に関する記事は今後も上げていくつもりである。TASさんはそんなことにも気を付けて制作しているのか、と理解してくれたら嬉しい限りである。

コロナマウンテンを更新した話

あらすじ

 先日、コロナマウンテンのTASを更新した。数回におよぶ更新を経て今までとは違うルートを作る事ができたので、その話をする。

動画はこちら。

https://twitter.com/zelpikukirby/status/1193116896234622978

 

過去のコロナはどうやって作ったか

 コロナマウンテンはフルゲームランでは最後に訪れるステージである。Any%を2度完走した私は当然Any%を作る際にこの区間でどういうアプローチが最適なのか調査していた。

 

 

 コロナを順を追って見ていくと、まず初手は放水で先の炎を消しつつ着地ダイブ復帰からスピンダイブ。目の前の棘床を超えて炎床に着地。

問題はその次の棘床がまだ引っ込んでいない事で、ここで考えられる選択肢は2つ。

1.棘が引っ込むまで待つ

2.初手と同様に棘床を飛び越す

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 1に関しては棘が引っ込むまでかなり時間がかかり、その間炎床で待つのは遅いと考えられた。そのため、2の棘床を飛び越えるアプローチを採用した。今思えば1を試さなかった事も調査が甘かったのだが、下記で述べる次の棘周期でどっちにしろ待つため大きな問題ではない。

 

 棘床を飛び越すには反転ダイブをするのだが、そのためには炎床でダイブ状態を解除しなければならない。崖に引っかけるのが一番早いのだが、1upのある足場までは意外と距離があり、崖引っかけの位置だとスピンダイブでも届かない。そのため、炎床でダイブ復帰→反転ダイブという動きにした。

 

 そこからは適当に進め、次の棘周期待ちにぶつかる。

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 青コインの手前にあるこの棘周期は超える事が出来ないため、ここも先ほど同様に周期を待つか、無視してホバーで超えるかの2択になる。

 ホバーで超えるのは実際試し、遅い事が分かった。というのも、コロナの棘床や炎床は小さすぎてダイブ復帰を出すと着地できずに落ちてしまう。それを防ぐために復帰中にスティックを引き減速させているのだが、そこからスピンを出しても速度がかなり死んでいるため、ホバーの時間が伸び遅くなってしまうわけである。

また、棘周期が今回は待ち時間がそこまでないため、待つ方が良いだろうと考えた。

 

 棘が引っ込むまで待つため、青コイン足場へのアプローチは比較的選びやすい。実用的なのは水滑りかスピンダイブの2つで、到着自体はスピンダイブの方が速い。しかし次の炎床へのアプローチまで広げて考えると、総合的に水滑りの方が速いという結果だった。(どの程度の差だったかは覚えていない)

 

 青コイン足場の次の炎床からのアプローチはほぼ1択で、スピンを出す事だった。炎床は水滑り出来ないため、水滑り慣性ホバーが使えない。この時代はまだRTAでコロナの速いルートが作られておらず、通常ダイブで慣性をつける発想もなかったため、落ちないよう減速させたダイブ復帰からのスピンになった。その後は流れで作るだけで特筆する事はない。

 

 まとめると、2014年の制作では以下の事がネックとなった。

・棘床の周期が越えられない事

・炎床では水滑りできない事

・棘床でダイブ復帰慣性スピンを出すのは無理がある事

 

この調査結果と、RTAの進化によって生まれた、炎床でのダイブからの慣性ホバーが2018年の制作で意識した事となっている。つまり2014年から新たに見つかった復帰慣性スピンでより速度を出す方法や、崖にダイブを引っかけて慣性スピンを出すといった新技術も含めた検証を見落としていた。これが大きな更新余地を生んだ最大の原因。

2018年で変わったのは初手の棘床飛び越えをせず、棘が引っ込むまで待つ方が速いと分かった事。 

 

調査結果への疑い

 特にコロナを作り直す動機が今までなかったのだが、ロケット保存の解説を作る過程でクッパ戦のムービー突入部を1F更新した事でコロナマウンテンを見直すきっかけが生まれた。

 

 まずは新技術の復帰慣性スピンを試した。2014年の時点ではただ着地から最速でスピンを出すだけだったが、2019年現在では復帰ショットガンで着地を調整する事で速度ロスを限界まで抑えたスピンが出せる。

ダイブ復帰から普通にスピンを出すと速度は大抵32前後なのだが、速度ロスを抑えると40以上残すことができる。これにより以前の調査では遅いと結論付けた青コイン足場から炎床への移動で復帰慣性スピンの方が速い事が分かった。

 しかしその差は4F。決して以前の調査が間違っていたというわけではなく、普通の復帰スピンでは水滑りより遅いのは確かで、それほど慣性スピンの速度ロスを抑える事が重要だった。

 

 次に炎床でダイブを崖に引っかけて慣性スピンを出す案を調べた。床の端で崖側へ入力→すぐに床側へとスティック入力をする関係で速度ロスはするものの、これだけで14Fほど早くなった。

 

 更に青コイン足場から水滑りをする必要がなくなったため、直前の棘床から水滑りで移動する必要もなくなった。こ棘床の水滑りをスピンダイブに変えると10F早くなるが、その先の周期を含めた調査まではしていないので、この10Fがそのまま先ほどの4F+14Fに加わるかどうかは不明。

 

アプローチの組み直し

 崖引っかけスピンが初っ端でも使えるのではと改めて考えたため、最初から作り直すことにした。しかし最初の炎床からの崖引っかけスピンでは、先の1up足場まで届かず、届く位置までダイブで滑ってから引っかけると今度は棘周期を待つ方に勝てないという有様で、ここに関しては2018年の調査と同じ結論となった。

 

 仕方がないので先の炎床で引っかけスピンを出し青コイン足場へ向かうアプローチを試した。ホバーの時間は長いが、周期待ちをしなくて良い分10F程度早く到達した。そのまま従来と同じく先の炎床へ向かっても良かったのだが、そうなると角度の関係で炎床から棘床の動線が悪くなる。そこで、2018年の時点で構想はあったが周期が間に合わず断念していた真ん中の棘床を経由するルートにチャレンジしてみた。

f:id:zelpiku:20191117115625p:plain

 

 以前のアプローチでは青コインより左側に着地していたため、この棘床が遠かったのが周期に間に合わない原因だったが、今回は右側に着地しているため距離の余裕ができた。それでも画像の通り棘がすぐ出てくるため間に合わせるのは難儀であった。

 棘をギリギリスピンダイブで避け、先の炎床へ着地、即座に引っかけスピンで左の棘床というアプローチを組んだが、この棘床で微妙に周期待ちが発生する。こちらも棘が引っ込んだ直後に水滑りになるよう調整するのが難しい。この棘床で水滑り引っかけスピンを出し最後の炎床へ移る。最後はスピンダイブだと少し距離が足りないためスピン→ホバー→ダイブという動きになっている。

 

 以上の過程を経て最終的に泥船までで2018年と比べて28Fの短縮となった。

真ん中の棘床はホバ禁でも通らない空気な床だったが、今回の更新によって明確な存在意義が生まれた。また、RTAを最適化しただけと言える2018年のアプローチからTAS専用のアプローチに変わり、見た目も慣性スピンを多用する見栄えのいい動きになった。TAS制作者的にかなり満足度の高い更新ができたと感じている。

 

むすび

 技術が未熟な時代の調査を疑わずに制作をしたために、2018年の技術で十分作れたアプローチを見逃していた事態となった。2018年の調査の手抜きは長丁場のフルゲームランの最後で少し完成を急いでしまった事によるのは否めないと思う。アプローチの調査というのは違うルートを何回も作り直す必要があり労力が半端じゃないが、今回の件を教訓に昔の調査結果を過信しないよう心掛ける事を意識したいと考えている。

Any%において乱数がタイムに影響する場所

あらすじ

 マリオサンシャインRTAはよく乱数がきついと言われるが、実際どれくらい乱数が関わるシャインがあるのか確認していくことにする。

 

 なお、人力では安定化が難しい動作や技がしばしば「実質乱数」「実質運ゲー」と表現される事があるが、今回の話ではそういったものは含めないため注意してもらいたい。

 

ドルピックタウン

 どろパックンへ遠くから水を当てる場合は乱数が関わる場合がある。

場合があるという理由は、乱数によって当たるかどうか変わる距離感と、乱数関係なく当たる距離感があるからである。

 実際ここでは乱数よりも正確にどろパックンを狙うエイム力の方がタイムに関わる。

 

ビアンコヒル

S2:アメンボ

 アメンボは初動は固定だが、それ以降の移動は乱数

最悪の場合、マリオが付いた時には既にアメンボが陸に接触して消滅していたりする。大抵リセット案件であるが、1発通しならば諦めて他のアメンボのところまで移動するしかない。

S3:種まきサンボ

 開幕直後に左前方にいる青いサンボのこと。

こいつの出す種が乱数によっては進路に落ちてきて妨害される。ロスは2秒くらい?

S5:ボスパックン

 言わずとしれた序盤のクソボス。

まずボスに行く道中、タイムのブレはあまりないものの、泥を掃除する部分が乱数。

泥の消え方によっては水滑りの速度が微妙なところで泥滑りに移行してしまう。

 

 そしてボス戦では2つの乱数要素があり、1つ目はルート取り。

理論上774パターンがあり、最速と最遅では約59秒違う。もっとも、そんな遅いパターンを引くことは滅多になく(見た事すらない)、通しで遭遇する遅いルートは大体最速+40秒あたりだろう。

774通りを全部計算して表にまとめた人がいるので興味があれば見てみるのをオススメする

Petey Pattern Probabilities - Google スプレッドシート

 

 2つ目の乱数行動は、ボスパックンを落とした後すぐに口を開けるか、竜巻を出すかどうかである。

竜巻を出すと約2.5秒のロスになり、3回とも竜巻をされると7秒ほど損する事になる。

 

マンマビーチ

 S8:ヤシの実飛ばし

 ここはアプローチが人によって違い、ヤシの実をショットガンで飛ばす場合に乱数が関わってくる。ヤシの実が飛ぶ方向、飛ぶ勢いによってマリオがヤシを持ち運ぶ時間が変わり、5秒以上は乱数ブレすると思う。

 

 ヤシを投げて運ぶ場合は乱数が関係なくタイムが安定する。

 

S7:子供モンテ

 進路上でモンテが立ち止まるとニセマリオの瞬殺が出来なくなり3秒~5秒はロスになる。

 

モンテのむら

S1:キャンキャン

 3匹のキャンキャンの進路がそれぞれ2パターンずつあり、またどういう処理をするかでタイムのブレも変わる。

開幕目の前にいるのを1匹目、左にいるのを2匹目、右奥にいるのを3匹目として、

1匹目→2匹目→3匹目の順で処理する場合

基本的に1匹目が正面と右どっちに進んでいるかはタイムにほとんど影響しない。

2匹目が分岐点で曲がらずにそのまま進んだ場合、若干のロスになる。

3匹目が一番タイムに関わり、分岐点で曲がらなければ5秒程のロスになる。

 

 次に2匹目→1匹目→3匹目の順で処理する場合

これは1匹目が右に進んでいる場合に採用される。1匹目→2匹目の順で沈めるよりも3秒くらい速いが、1匹目が更に分岐を挟むのがネック。分岐点で曲がってくれると2匹目を沈めた後ですぐに1匹目を掴むことができるのだが、曲がらなかった場合は少し遠回りしなければならない。

 このルートでも3匹目の分岐前には間に合わないため、同じくツンパターンを引くと5秒どころではないロスになる(デレパターンは早く行けばいくほどタイムが縮むため)

 

S3:プチプチ

 RTAではかぜくんにダメージをもらってマグマ突破するが、突破最中にプチプチが出現して踏んでしまうと、タイミングによっては空中で無敵時間が切れてしまいミスになる。マグマダメージ中の処理と柵との距離によっては助かるが、助からない場合もある。死ぬと50秒~1分のロス。

 

S4:ワンワン

 ワンワンが左、真ん中、右のどこを向いているかでおよそ1秒ずつ変わる

左が一番早く、次に真ん中、最遅は右となる。

真ん中と右は途中でワンワンの進路が同期するためタイム差が測りやすいが、左は割と処理の上手さによってもブレるため正確にタイム差を出す事は難しい。

 

S5:モンテ

 Any%における序盤の大きな運ゲポイント。ボスパックンは最速と2番目に早いパターンが3秒差しかないため、最速じゃなくても妥協しやすいが、ここに限っては最速の所謂神おっさんを引けなければ20秒以上ロスになる。

 

 モンテの仕様としては、何パターンかの専用タイマーが用意してあり、それが0になってからチェックポイントに差し掛かると足を止めるというもの。このタイマー、かなり短いパターンもあり、全てのチェックポイントで止まってしまう各駅停車も割と起こる。足を止めている長さも乱数で、一瞬しか止まらないパターンから10秒程止まっている時もある。それゆえここも最速と最遅では50秒くらいは変わってしまう。

 

S6:救出

 住人を汚れから出す時、汚れの消え方によっては住人が出てこない場合があり、これが数秒のロスに繋がる。特に2人目、5人目、7人目、8、9人目あたりが出てきてないとロスが大きめ。

 

ピンナパーク

S1:メカクッパ

 ボトルキャッチを放水、ショットガンで取る行為が乱数

特に1発目を撃った直後に2発目が取れないパターンが悲惨で、4発目のボトルの再利用も失敗すると10秒以上のロス。

 なお再現法は判明していないが、メカクッパの体内にボトルが復活するバグが起きれば5秒程度のロスで済む。

 

S4:タマゴノコノコ

 ノコノコを起こすためのショットガンが乱数で、これによって起きる時間がフレーム単位でブレる。その結果5連処理に失敗すると10秒程ロスになってしまう。

 

EYG

 ヨッシーの要求フルーツがバナナ、パパイヤ、パイナップル、ヤシの実の4パターンで、ヤシの実だけは遠くにあり数秒遅くなる。

 

 出てきたフルーツを水で飛ばすと当然これも運なので、最悪の場合は海に落ちて砂浜からもう1度取らなければならない。

 ピンナパークの砂浜に埋まっているフルーツは1度消えるとその後利用できない。各フルーツは2個ずつしか埋まっていないので2個とも失うとステージを出るしかなくなる。

 

フルーツマップは画像の通り

 

 ちなみにS2でEYGをやる場合は確率19%の紫キラーを引かなければならないため運要素が発生する。

1周期約7秒でこちらは運が悪いといつまで経っても来ないという事になる。

 

リコハーバー

S1:ボスゲッソー

 ムービー明け直後、Rを押しておくと大抵はすぐに水が当たるのだが、乱数によっては外れる。遭遇率は低めでロスも1秒もないはず。

 

S3:クレーン

 クレーンの速度と初期位置が乱数で、1秒ほど影響する。

 

S5:クレーン、水

 フルーツタンク直前にあるやつ、鉄骨から水滑り2段をする場合にのみ乱数が関わる。

 水はボスゲッソーに遠くから水を当てる場合で、ここで当たらないと1秒くらい遅くなると思う。

 

シレナビーチ

S1:マンタ戦

 ショットガンによる攻撃、マンタの分裂の向きが乱数で、特に散らばるように分裂されると酷い事になる。

めちゃめちゃ速い時とそれ以外が極端で、Best Segmentが何の参考にもならない場所。

 

S2:赤テレサ

 赤テレサの高さが乱数によって変わるが、ここはどちらかといえばアプローチの操作のブレによって生じる赤テレサとの距離感の違いの方がミスに繋がりやすい。

 

S5:ボステレサ

 乱数が3つあり、1つ目はスロットの絵柄。これによってスロットが止まるまでの時間が1秒未満でブレる。

スロットの回転数についてはまとめた人がいるので載せておく

https://twitter.com/zmdkrr/status/855692983764533249

 

 2つ目はスロットが何を揃えるか。フルーツが揃うターンで違うものが出ると8秒くらいロスになってしまう。

 3つ目がフルーツの飛び散り。地形で反射して唐辛子を勝手に食べてくれたり、唐辛子が奥の方まで飛んで行ったりするためこれもかなりタイムに関わる。

またドリアンが近場にあれば持つ手間が省ける。

 

S6:大掃除

 ショットガンが乱数だが、ここは運よりも動作精度の方がタイムに影響しやすい。

TAS的には運で結構ブレるはずだが、そこまでギリギリの掃除をRTAではしないというのが正しいか。

 ただやはり階段や端っこなどの汚れが残ってしまうと処理が面倒になりやすい。

また足元が消えずにペンキダメージを受けてしまうと痛手。

 

マーレの入り江

S1:プチプチ

 S3同様ダイブ復帰の足元に出てこられると厄介

 

S3:プクプク

 ホバー有のRTAでは関係ないが、ホバー禁止RTAでは進路上にピッタリ重なり10秒以上持っていかれる。

 

S4:ウナギ

 最初のウナギの回転方向によって金歯の位置が変わるため、6本抜きを狙う場合は処理を変える必要がある。

 

S7:ニセマリオ

 開幕ショットガンを当ててニセマリオを歩かせるやつ

当たればコンマ数秒の短縮だが外してもロスは1秒未満(最速処理をミスればそれどころじゃないが)。

 

コロナマウンテン

 クッパ戦ではお湯が乱数。戦闘の最中では調整ができないため、昔は乱数ではないと考えていたが、突入前に乱数をずらしてから全く同じ入力をしたらお湯に狙撃されたため、やはり乱数であると発覚した。

 お湯にぶつかる位置によっては落下確定だったり、クッパの炎に焼かれたりするため結構な走者の記録ペースを葬ってきた乱数である。

 

むすび

 マリオサンシャインではショットガンやホバスラといった水を使う基礎動作すら乱数が関わるため、細かい運要素を含めたらほとんどのシャインが該当する。

 ホバスラも含めて完全に関係がないシャインはピンナ2(TASでは乱数関係あり)、リコ7、マーレ2、マーレ5くらい。

 

 今回の記事はリクエストとは違うが、乱数が関係ある場所をまとめてほしいというのをtwitterで見かけたため書いた。リクエストがあればどんどん送ってほしい。

Any%RTAでTASアプローチをあとどれだけ採用できるか

あらすじ

 マリオサンシャインのAny%TASはこれまで2010年、2014年、2018年の計3回作られ、少なからずRTAに影響を与えている。

 

 TASのルートをRTAに取り入れる事はよく行われてきたが、割合的にはRTAルートをTASに取り入れている方が多い。TAS人口が少ないのもあり、アプローチの研究はRTA勢が行う事がほとんどとなっている。

 

 プレイヤーの技量と世界記録が煮詰まるにつれて1秒の価値は重くなっていくが、新しいアプローチは生まれにくくなっている。既にアプローチ自体完成されており、これ以上改善できない場所が多いからだ。そうした状況からある種の最終手段であるTASのルートをRTAに取り入れる走者をよく見かけるようになった。

 

 では2018年のAny%TASからRTAに取り入れられそうなアプローチはあるのかという事をTAS制作者の視点から述べていこうと思う。

 

既に取り入れられたもの

 TAS制作時点ではRTAでは誰もやっていなかったが、TAS公開後に採用されたアプローチがある。

 

 ビアンコ5の初手、ビアンコ4と同様に緑の地面の方を滑り、水滑り3段で風車を蹴りロープを捕まらずに行くルート。上手くいけば従来のロープに捕まるアプローチより1秒の短縮になるが、水滑り3段の速度維持や壁キックが難しいため採用してる人はかなり少ない。

 

 ピンナS3の海賊船、船上の2枚を先に取った後、青コインのある金網籠の方へ行くルート。2秒~3秒の短縮になるのだが、これをRTAでやる人が出てくるとは思わなかった。

 なぜかというと赤コイン3枚目を取って船を上手い事避けつつ金網籠へ向かうのがTASでも難しかったからだ(RTAより早いタイミングで来ている影響もある)。だが実際難しいのはここではなく、金網籠の赤コインを取って5枚目を取る部分、Y視点の角度合わせや金網についている角材が邪魔らしい。

 

 マーレ4のウナギで6本抜きに加えムビカ用の歯をギリギリまで磨いておくほぼ7本抜き。Samura1man氏が通しでも成功させたが、他の走者は恐らく取り入れていない。6本抜きが間に合わないリスクが跳ね上がるのに対し短縮があまり期待できないからだろう。

 

 マーレ7ニセマリオの瞬殺。3秒短縮だがこれもRTAでやっている人はほぼ見ない。

Any%の最後にあるため大抵は記録が出ない事が確定している走者がSoBを縮めたり、あるいはその3秒を稼げれば自己べが出そうという場合にやっている事がほとんどだと思う。普通にフレームパーフェクトの走者を要求されるため安定して成功するものではないだろう。

 

まだ取り入れられてないもの

 本音を言うとどれもRTAには向かないと思っているため、採用が難しい要因を並べて各シャインごとにどれが該当するかまとめていく。

 

採用が難しい理由

1.速度維持

2.乱数

3.周期がシビア

4.操作が複雑、忙しい

5.角度、座標を合わせるのが難しい

6.タイミング調整が難しい

7.既存アプローチとあまり差がない

 

エアポート

 ホバスラ復帰からY視点でどろパックンに攻撃-操作が忙しい

ホバスラ復帰せずに普通にY視点で遠くから狙う簡略化したアプローチは既に採用されている。

 

ドルピックタウン

 どろパックン撃破後の死亡-タイミング合わせが難しい

死亡するタイミングをちゃんと合わせなければ短縮にならない

最大でも24Fしか変わらないため、他のところを詰める方が賢明

 

 ビアンコヒルズ先回り-操作が忙しい、タイミング合わせが難しい

既に個別の解説記事で書いた通り

 

ビアンコヒル

 S2の風車壁-速度維持、乱数、周期がシビア

丸太3段で速度ロスを抑える、アメンボの位置がよくないと周期に間に合わない

2014年版の左側を壁キックする方でも人間には厳しいだろう

 

  S3アメンボ踏み-乱数

ここのアメンボは相当運が良くないと通り道に来てくれない。

近くにいたら利用する程度で良い。

 

 S6内部の坂滑り-タイミング調整

坂滑りは大体この理由

S6はブロックがでかいためまだ成功させやすい方ではあるが50分近く走った通しでやるかどうかは別

 

リコハーバー

 S1、S2の船の側面を水滑り-速度維持、乱数、座標合わせ

まず普通に行く方とタイムがほとんど変わらない。到底人間がやるものではない。

他のストーリーは細かいとこは違えど特筆すべきアプローチではないので割愛。

ピンナパーク

 S6ヒミツ内部後半のルート変更-速度維持、操作が忙しい

120枚TASで使った氷ブロックとは反対の西側をY視点壁キックで登って行くルート

人間操作でのダイブ復帰慣性スピンがかなり速度ロスしてしまう上、Y視点壁キックもシビアで難しい

 

 S7ニセマリオ瞬殺-タイミング調整

これも120枚TASで採用した方法、マーレ偽と同じ原理で空中から接近してニセマリオの始動を遅らせることでほぼ歩かせずに倒すやり方

ダイブを出すタイミングが難しく、手前の階段にぶつからない程度に勢いをつけるが、ニセマリオに気付かれないようにダイブを出すタイミングを少し遅らせるのがなかなか難しい。しかしワンシャインとかならまだ現実的ではあると思う。

 

シレナビーチ

 S2のホテル内部、手前側を壁キックしてテレサ像の横から入口判定を踏む-座標調整が難しい、既存アプローチと差がない

ノンストップで判定に触れるのが見た目以上に難しい。練習すればできないこともないかもしれないが、普通に入るのとあまり差がない以上メリットが薄い。

 

マーレのいりえ

 S1、S2のY視点を使う垂直上り-操作が複雑、角度合わせ

S1に関しては周期ゲーなのでわざわざこれをやる意味がない

S2は上り方自体よりも水車側から上って水滑りに繋げられるメリットの方が大きいが、Y視点がイカれた操作難易度にしているため厳しい。

 

 S5の初手右へ行きロープ移動を短くする-タイミングがシビア

ロープヒップのタイミングが難しい

 

 S6でS1と同じような上り方をする-既存アプローチと差がない

ホバ禁のように初手左へ行く既存ルートも難しめなのだが、TASのルートとの差は0.5秒もない。とはいえこのTASルートは人間にできる難易度で、ホバ禁ルートのようにロープ掴まりミスで海まで落ちる事故がないためリスクは少ない。

比較したら案外人力でもTASルートが速かったりしないのだろうか(筆者は未検証)

 

モンテのむら

 S1キャンキャンのスピン掴みキャンセル

スピン入力によってキャンキャンの飛距離が落ちてしまう以外にデメリットはなく、人力でも簡単なのだがまだ採用されているところを見た事がない。その飛距離の減衰が結構響いてくるのが原因と思われる。

ちなみに同じく硬直キャンセルテクニックである鎖投げは採用している人もいる。

 

 S5外部の金網上を通らないルート-速度維持

速度を一番残せる着地を出せないとキノコに直接乗るのは難しい

 

 S5内部ノンストップ神おっさん-周期がシビア、乱数

最後のおっさんが1度も止まらなくても間に合うやつ。実質ここの運ゲーがなくなるためRTAで実現出来たら革命だが、TASでも相当ギリギリのため厳しいだろう。

会話中はおっさんの歩きが止まるのを利用し、子供モンテと真上投げモンテを踏まずに即話しかけるようにしなければまず間に合わない。

クッパ

 復帰ロケットで足場を移動する-座標、角度、タイミング調整

崩れた足場にできた段差にダイブを引っかける、次の足場への角度調整、復帰ロケットの高さを稼げるようにロケットチャージのタイミング調整、全てが難しい

 お湯の配置によっては復帰ロケットでもかわすのが困難なためこんなとこでTAS技を採用する人は出てこないだろう。

 

まとめ

 人力で採用できそうなアプローチはまとめると以下のようになる

 

ビアンコS3のアメンボ:運よく通り道にいれば利用する

マーレS6の外部:既存のホバ禁式との比較次第

キャンキャンやワンワンのスピン掴みキャンセル

 

 あくまでTAS制作者目線のため、これ以外のアプローチをRTAが取り入れる可能性がないとはいえない。ピンナ3が最たる例。

 また、まだTASでも使っていない新アプローチが出てくる可能性も否定できない。事実ベイブレード坂滑りによってリコのS3、S4が変えられた。

 

 フルゲームのRTAをするだけがマリオサンシャインではないため、ワンシャイン、ワンステージを詰めるためにアプローチを開拓するのも楽しみ方の1つ。

 最近では120枚用の100枚コインのルートが何個か変わっていたりするため、まだまだ開拓の余地があると思う。是非とも多くの人に研究してもらいたい。